設備資金は長期での償還能力を見られます

設備資金融資のポイント・・・長期での返済能力があるかどうか?

設備・・・と言っても、営業用車両の購入で100万円というものから、工場や診療所の新設で億単位になるものまで幅が広いですが、設備資金として銀行に融資を申し込んだ場合、銀行員がどこを見て審査しているのかを説明します。

 

設備=固定資産です。

 

銀行員が決算書をどうやって見ているかというトピックにも書きましたが、固定資産は本来、自己資本(純資産)で賄われている状態が理想であり、そうでなかったとしたら自己資本(純資産)+長期借入金で賄われているべきものです。

 

長期借入金ですから、返済期間が1年超の借入金です。基本は分割返済となります。

 

長期借入金の返済源資は利益です。

 

銀行の融資審査において、長期借入金の返済源資(償還財源)としてみなすのは償却前利益です。

 

償却前利益=当期純利益+減価償却費

 

例えばある企業が3,000万円の設備資金を5年で借りたとします。

 

そうすると元金均等返済の場合、1カ月に返済する元金は3,000万円÷60回(5年)=50万円ですから、

 

1年間に返済する元金は50万円×12カ月=600万円です。

 

前期の決算書において、例えば当期純利益が1,000万円あり、今期も同程度の業績推移を予想しているものとすれば、銀行員が審査をする際には問題なしと判断されると思います。

 

また、前期における減価償却費が800万円あったとすると、償却前利益は1,800万円になりますので、これがこの企業が利益で返済できるおおよその金額であると判断されます。

 

年間返済額600万円<償却前利益1,800万円なら返済は十分可能という判断です。

 

ここで、何故減価償却費を足すのか?と疑問に思われる方の為に言っておきますと、

 

減価償却費は費用として、販売費一般管理費、または売上原価において計上されます。固定資産の場合は耐用年数が決められていて、その期間で償却します。木造の工場や倉庫の場合は15年で償却するとか、乗合自動車は5年で償却するとかという具合にです。国税庁のホームページ 耐用年数表に記載されています。

 

例えば本件が、木造の倉庫を3,000万円で建てるという場合、15年間かけて費用(減価償却費)として落とし、15年で残存価格を0円にします。何故一括で経費にできないかというと、設備をした年度に全額費用計上したら、当然その企業の利益が減って、国が税金を取れなくなるからです。実際のキャッシュの動きとしては、倉庫を建てた時に3,000万円出ていくことになりますが、その年に費用として計上されるのは、定額法と定率法という計算方法があるのですが、大雑把に言って3,000万円の1/15の200万円です。その後も決算時には減価償却費が費用として計上されますが、キャッシュが出ていくわけではありません。

 

つまり減価償却費は、費用として計上されるのでそのぶん損益計算書における利益が減る要因となりますが、それは資産の価値が減った分を費用計上しているだけの話であって、キャッシュは出ていかない費用なのです。ですから、長期借入金の返済原資として償却前利益(当期純利益+減価償却費)をみなす事ができます。

 

では、この企業が前期決算において、当期純利益▲200万円の赤字、減価償却費800万円だった場合はどうでしょうか?

 

この場合の償却前利益は、当期純利益▲200万円+減価償却費800万円=償却前利益600万円となります。当期純利益が例え赤字であっても償却前利益は600万円ですから、本件年間返済額600万円と同じ額になりますので、この場合も返済能力はあるものとみなされます。

年間返済額よりも償却前利益が低い場合は、設備効果がどの程度かを見られる

では、年間返済額よりも償却前利益が低い場合はどうでしょうか?

 

例えば本件設備資金の年間返済額600万円に対し、

 

当期利益▲500万円+減価償却費800万円=償却前利益300万円というようなケースです。

 

普通に考えるなら、年間の返済能力が300万円しかないわけですから、1年間の返済金額である600万円は支払う事ができないように思えます。

 

でも、ここで考慮されるのは、この設備3,000万円がどの程度の設備効果を生むか?です。

 

本案件の場合、3,000万円をかけて木造倉庫を建てるという計画です。それは何のためにやるのかというと、実は今まで自社の倉庫がなく、賃貸の倉庫を利用しており、毎月賃貸料を50万円支払っていたとします。それが本件設備によって、自社の倉庫を利用するため賃貸をやめるとすればどうでしょうか?

 

倉庫の賃貸料毎月50万円×12か月=600万円の経費節減となりますので、今期の決算は600万円利益を押し上げる効果があるとみなすことができます。

 

私でしたら、融資稟議書の意見には、

 

【今期返済原資予想】
前期償却前利益300万円ですが、本件設備により前期の倉庫賃借料600万円分の経費節減効果がある為、今期決算における償却前利益は900万円程度が見込める事から、本件年間返済額600万円は十分に返済が可能である。

 

と書くと思います。

 

設備効果がどの程度のものかというのもポイントになってきます。

 

もし本案件が、単に元々自社の倉庫を建替えるだけという事なら設備効果はほとんどないので、その場合返済原資は償却前利益300万円となりますから5年での返済は難しいと判断されると思います。期間を5年ではなく10年にすれば年間返済額は300万円になりますから、そうやって折り合いをつけていく方向になると思います。

 

広告

 

 

関連ページ

設備資金はその設備によりどのような効果があるかを見られます
設備資金の融資を申し込む際にポイントとなるのは、返済能力と設備効果です。設備効果とはその設備をする事により、財務上にどのような影響があるかという事です。