決算書が良いか悪いかはすぐに判別されます

銀行員は決算書の良し悪しをどうやって見ているか?

決算書が良いか悪いかを簡単に判別する方法があります。

 

決算書における、貸借対照表は下のような構成になっています。

 

決算書の見方

 

これを上と下を分けて考えてみます。

 

流動資産と流動負債を比べてみる

 

決算書の見方

 

簡単な言い方ですが、流動資産とはすぐに現金化できる資産。流動負債とはすぐに支払期限が到来する債務の事です。

 

流動資産(すぐに現金化できる資産)と、流動負債(すぐに支払しなければならない負債)とを比べた場合、流動資産の方が大きければ資金繰りが楽。逆に流動負債が大きければ資金繰りは苦しいという事が考えられます。単純な話です。

 

流動負債の方が流動資産よりも大きい場合、すぐに入って来るお金よりも、すぐに支払わなければならないお金の方が多いという事なので苦しいのは目に見えてますよね。

 

固定資産と純資産を比べてみる

 

次、固定資産と純資産を比べてみます。

 

決算書の見方

 

会計上で言うところの固定資産とは、販売目的でなくかつ継続的に会社で使用することを目的とする財産のことを言います。

 

つまり、流動資産のようにすぐに現金化するような資産ではありません。固定資産はこのような性格のものですので、本来、固定資産は純資産(自己資本)で賄われているのが理想です。

 

ただし、そのような理想形の企業は珍しいと思います。多くの企業の場合、固定資産は自己資本(純資産)+長期借入金で賄われているケースが多いと思います。

 

下の図が固定資産を長期借入金と純資産で賄っている例です。

 

決算書の見方

 

固定資産が自己資本と長期借入金で賄われている状態なので、状態としては良好であるという事ができると思います。

 

それは何故かというと、今度はその上の部分と重ねてみれば簡単に理解することが出来ます。上の部分、つまり流動資産と流動負債をくっつけてみると下の図になります。わかりやすくするように金額を当てはめてみます。

 

決算書の見方

 

固定負債は1,000万円ですが、それを400万円と600万円に分けて考えてみます。そうすると下の図のようになります。

 

決算書の見方

 

すぐに現金化できる資産(流動資産1,200万円)が、すぐに支払期限が到来する債務(流動負債)と、すぐに支払期限が到来しない債務(固定負債)をカバーしているので、資金繰りは苦しくない事が見て取れます。

 

これがもし、固定資産が自己資本と長期借入金で賄われていない場合、例えば下の図のような状態を考えてみます。

 

決算書の見方

 

これは上の資産、負債(流動資産、流動負債)をくっつけてみます。数字も適当にあてはめてみます。

 

決算書が良いか悪いかはすぐに判別される【銀行員が見るポイント】

 

流動資産よりも流動負債の方が大きい時、資金繰りが苦しくなる事は最初にも述べた通りですが、固定資産を純資産及び固定資産で賄いきれていないと、自ずとこのような図になってしまいます。

 

決算書が良いか悪いかはすぐに判別される【銀行員が見るポイント】

 

今度は流動負債が下にはみ出ていますので、流動負債を800万円と600万円に分けて考えてみます。

 

前述の通り、会計上で言うところの固定資産とは、販売目的でなくかつ継続的に会社で使用することを目的とする財産ですが、その一部(600万円)を、すぐに支払期限が到来する債務(流動負債)で賄っているわけですから資金繰りは厳しいという事が見て取れます。

銀行は、流動負債が大きくなる事を警戒している

貸借対照表を見て、良いか悪いかを判断するには上で述べたような事がポイントとなります。

 

流動資産と流動負債を比べて、どっちが大きいか?流動資産の方がが大きければ良い(安全性は高い)ですが、流動負債の方が大きいければ悪い(安全性は低い)。

 

固定資産と自己資本、或いは固定資産と自己資本+固定負債を比べてみて、固定資産の方が小さければ良い(安全性は高い)ですが、固定資産の方が大きければ悪い(安全性は低い)。

 

実は、これ財務諸表の安全性分析に利用されています。

 

流動比率

流動資産と流動負債の金額を比較することで企業の短期的な支払能力を判断する指標のこと。
流動比率%=流動資産÷流動負債

 

高ければ高いほど安全性は高い。100%を下回ると安全性は低い。

 

固定比率

固定資産と自己資本とを比較したもので、固定資産に投資した資金が返済義務のない自己資本ででどれだけまかなわれているかを見るための指標のこと。
固定比率%=固定資産÷自己資本(純資産)

 

低ければ低いほど安全性は高い。

 

固定長期適合率

固定資産に投資した資金が長期資金と自己資本でどれだけまかなわれているかを見るための指標のこと。
固定長期適合率%=固定資産÷(固定負債+自己資本)

 

低ければ低いほど安全性は高い。100%を上回ると安全性は低い。

 

特に銀行員が融資の審査をする時に見るのが、流動資産より流動負債が大きい場合です。流動負債は、すぐに支払期日が来る債務の事ですから、それが大きいのは安全性に懸念があると判断できるからです。

 

特に利益が上がっていない赤字企業の場合、短期借入金の返済がかさんで運転資金が不足し、運転資金が不足するとまた短期借入金が増加するというパターンに陥ると、流動負債がどんどん増えていく事になります。

 

その様な状態で運転資金を貸してくださいと銀行に融資を申し込んだとすると、銀行員は、これは運転資金ではなく赤字補てん資金だな・・・と判断すると思います。

 

広告

 

 

関連ページ

粗利と棚卸資産の関係は必ずチェックされます
銀行員は粗利と棚卸資産の推移を必ずチェックしています。利益の嵩上げしようとした場合、棚卸資産を増やすと利益が増えるからです。その理由について説明します。
減価償却が適切に計上されているかは必ずチェックされる
よく業績の悪い会社の決算を見ていると、減価償却費の計上が適切でないケースを散見します。減価償却費を計上しない事で一見利益がかさ上げされますが、銀行員は見抜いています。
融資審査の裏事情?自己査定と融資審査の関係@
銀行の融資審査は、まず信用格付を行い、債務者区分をし、その後に債権区分をして返済に懸念が少ない債権と懸念がある債権とを分類しています。それを簡単に説明してみます。
自己査定と融資の関係A 債務者区分、取引方針は同じ債務者なのに銀行によって違う
債務者区分や取引方針は、金融庁の金融検査マニュアルに則って行われているのに、同じ債務者でも金融機関によっての見方によって正常先になったり要注意先になったりするというお話です。